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メジロ

December 20, 2017

 ここ数日、庭では、鈴が転がるようなかわいらしい声が響いていた。編む手を止めて、そっと窓から外を眺めると、山茶花の木に何かが動いている。目を凝らすと、小さな鳥達の姿がちらりと見えた。彼らはちっともじっとしてなんかいない。花から花へ忙しそうに飛び回っては、頭をその奥へ突っ込んでいる。蜜を吸っているのかしら。声は小鳥たちのさえずりだったのだ。そっと窓から離れたつもりだったけれど、人の気配を察したのか、散り散りに飛び去ってしまった。そのうちの一羽が目の前のシロナンテンの枝にとまった。メジロだった。

 

野鳥の羽の色に惹かれている。周囲と溶け込む色でありながらも、はっとするほど美しい。じっと見たいと思うけれど、人に慣れない彼らを長い時間観察するのは難しい。その美しさを図鑑ではなく、自分の目で確かめたかった。冬はバードウォッチングには良い季節ときいているけれど。

 

朝、庭へ出た。水やりをしていたら、コンクリートの上に何かが落ちているのを見つけた。メジロの死骸だった。信じられないものが目の前に落ちているのを、どういう気持ちを持ったらいいものやらわからないまま、じっとそれを見た。メジロは、特に傷はないようだった。なぜ死んでしまったかわからないけれど、動かないままそこにいるには違いないのだった。鮮やかな黄色が、なんて美しいのだろう。グレーにふわっと黄色がかった羽の色。お腹の白・ベージュ、そしてほんの少し、刷毛で引いたようなグレーがある。目の縁の白。尾羽の裏の、青みがかったグレー。

こんなにも、私に見せてくれて、ありがとう。そっと掌に載せると、驚くほど軽かった。抜け殻って、こういうことを言うのだなと思った。でもきっと、昨日までは、この体に命があって、血が通って、飛んだり跳ねたり、この花の蜜美味しいな、って思っていたんだよね。穴を掘って、その中に寝かせ、そっと土を掛けた。冷たくてごめん。どうか春になったら、土に還ってくれますように。枯葉を上にかぶせて、盛り上がった土のそばに棒を一本たてた。そして、子どもの頃、飼っていた鳥が死んでしまったときも、同じことをしたのを思い出した。

 

 

 

 

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