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織り込み編みについて

October 26, 2017

1本の糸を編む、編み続けてゆく、という作業は、編む手のリズムの心地よさがとても好きです。私も(あみものを始めた頃は)それがとても楽しくて、地模様やアラン模様などを結構編んでいたのですが、さらに「色糸を編み込める」ようになると、その楽しさはぐっと広がりました。一本だけで編んでいたところに、他の色が加わると、その色合いの美しさに、はっとするような驚きと喜びが生まれます。フェアアイルのように複雑な模様は色の響きが重層的になり、その深みにはまって魅せられたようになってゆく。まるで美しい音楽に聴き惚れてしまうように。

ただ、その編み方には慣れるまで時間と努力が必要です。左手(または右手)に2本の糸をかけて編む、または両手に1本ずつ糸を持って編む、などいくつかの方法がありますが、裏に渡す糸の長さや手の動きに難しいと感じる方もおられるのではないでしょうか。

 

編むことを、そして色をプラスすることをもっと楽しんでもらうにはどうしたらいい?と思っていた時に出会ったのが、エストニアのミトンや靴下に見られる「糸を織り込む」編み方でした。(原書ではきちんと名前がつけられていると思うのですが、語学力が乏しく、きちんとした名称をお伝えできずに申し訳ありません。)これはメリヤス編みの編地に、ポイント的に色を加えることが出来る方法でして、メリヤスを編みながら、編み目と編み目の間から色糸を表に出したり、裏へ戻したりしながら模様を作っていく、というもの。まだ既視感のない技法かもしれませんが、これは、なかなか可能性のある編み方だと思うのです。

 

模様の大きさにもよりますが、残り糸を手軽に織り込むこともできますし、場所を選ばず色(模様)を加えることが出来ます。たとえば、前身頃に(Tシャツの柄のように)ぽつんと模様を入れたい時。糸を編み込む場合は、縦糸渡しと、場合によっては横糸渡し、両方の編み込み技法を使って編みます。時に模様の両脇の編み目がきれいにいかない場合もあって、私は敬遠したくなるパターンなのですが、糸を「織り込む」方法であれば、その辺の事情を考えなくても良さそうです。糸はメリヤスを編む糸より太い方が良く(渡した糸で編み目が隠れるように)、太めの1本どり、または地糸2本どりにしたものを織り込みます。糸はストレートなものの他に、ネップやスラブ(糸に凹凸があるもの)、ファンシーヤーンなどでも楽しそう。個性的な糸であれば、シンプルな模様することで、糸の表情を生かしたテキスタイルになると思います。

 

「日々のあみもの」では、繕いサンプラーのセーターでこの技法を使っています(プロセスページに編み方が載っていますので、参考にしてみてください)。緻密に見えるかもしれませんが、それが編みやすさの秘訣でもあります。いくつかサンプルを編んでみて、「織り込み」模様は、糸を長く渡す模様にはあまり向かない気がしています。小さい模様の方が糸の渡りが短いので、(糸が)たるむ心配がありません。

後から刺繍するのでも同じなのでは?という声が聞こえてきそうなのですが、糸を切らずに長いまま織り込めること、編み上がったら柄が仕上がっていること、凹凸のある糸でも糸を傷めずに織り込めること等、良い点もたくさんあります。古の人々が生み出した技術が、今を映すデザインの中で作り続けていけたらいいと思いますし、そのきっかけになれたらうれしいです。どうぞお楽しみいただけますように!

 

 

 

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